
入院で経管栄養になった患者や低栄養の患者は入院中にはメイバランスを使う。しかしこうした患者は退院して自宅に帰るとエンシュアに切り替わる。このようにメイバランスからエンシュアに切り替える理由は以下だ。
メイバランスは「特別用途食品」で、入院中はDPC包括払いに含まれて提供されることが多い。でも、外来ではメイバランスは原則として保険適用外。つまり、患者が全額自己負担になることが多い。一方、エンシュアは医療用医薬品だから、外来でも保険適用が可能、医師が必要と判断すれば、処方箋で出せて、患者は1〜3割の自己負担で済む。
実際にメイバランスを外来で自費購入すると、1本あたり400〜500円。1日2本で月に約2万5千円〜3万円の出費になる。ところがエンシュアなら保険適用で、同じ量でも患者の自己負担は数千円程度に抑えられる。これは大きな差だ。
この関係はいま話題のOTC類似薬とOTCの関係に似ている。OTC類似薬は医師の処方せんで出せるので、1~3割の自己負担ですむ。ところがOTCは自費払いなので、同じ有効成分でもOTCの方が圧倒的に高くなる。これと同様、エンシュアは食品類似医薬品でOTC類似薬と同じだ。一方メイバランスは食品で外来では自費払いだ。国は2026年の診療報酬改定で、エンシュアのような食品に置き換えることが可能な食品類似医薬品は、保険給付範囲を厳格化して、できるだけ保険適用からはずし、できるだけ食品であるメイバランスを使うことを勧めている。
このため、次回報酬改定ではエンシュアの保険適応が長期にわたる経管栄養や外科手術後に限定されて、栄養補助食品としてエンシュアを処方することができなくなりそうだ。
実際に著者の外来でもエンシュアを処方で出している高齢者が何人かいる。いつも外来にやってくる一人暮らしのお年寄りは、かならず外来の終わりに「エンシュアを出してくださいね」と念押しまでされる。
こうしたお年寄りには来年6月からは、「すみませんがメイバランスを買ってくださいね」と言わなければならないのだろうか?メイバランスは1本当たり400~450円、60本分の総額だと、2万4千円から2万7千円もする。とても年金暮らしの高齢者に、メイバランスの購入をお願いするのは気が引ける。OTC医薬品と同様、医師が必要と認める場合はエンシュアを処方することを認めるようにしてはどうだろう?
