エッセーの投稿

エンシュアが出せなくなる


 外来で、「エンシュアを処方して」とこられる高齢の一人暮らし男性がいる。毎回、「エンシュアをお願いしますね。栄養補給になるので」とおっしゃる。でも2026年報酬改定でこれができなくなる。この高齢の一人暮らしの男性の方には、「エンシュアの経口摂取は術後の栄養補給だけですよ」と言わなければならなくなる。

 もともとエンシュアは胃ろうや経鼻栄養などの経管栄養に用いられる栄養剤だ。同様の成分で食品としてメイバランスがある。これからは「メイバランスを自費で買ってくださいね」と言わなければならないのだろう。エンシュアの処方より、メイバランスを自費で買う方が自己負担分は高くなる。年金生活者にとっては痛手だろう。

 これまでにもこうした保険外しの例は多い。うがい薬のイソジンガーグルやビタミン剤の処方、美容目的のヒルドイドの処方などが保険から外されてきた。エンシュアも来年からは保険適応が厳格化されるのだろう。これにOTC類似薬の選択療養が加わる。選択療養で自己負担がアップすることを説明しなければならなくなるだろう。外来でも説明が大変だ。

 さて湿布薬の保険外しも進んでいる。かつては保険適応の上限が70枚だった。しかし現在では63枚になった。どんどん枚数制限が進むだろう。むやみに湿布薬がだせなくなる。さて「どうして63枚が上限なのか?」。その理由は湿布薬は1袋7枚入りが多いからだ。7の倍数で枚数制限が切り下がって行く。

 ところで湿布薬の1袋の枚数には違いがある。1袋7枚入りが多いけれど、5枚入りもある。これで困った経験がある。一度、70枚上限のころ、「温湿布と冷湿布を同じ枚数でお願いします」と患者さんからいわれた。ちなみに温湿布は1袋7枚入り、冷湿布は1袋5枚入りだ。「え~それぞれ何袋にしたらいいの?」と頭が真っ白になった。小学校の時に習った鶴亀算を使うのかと思った。そこであわてて薬剤師さんに聞くと「簡単です温湿布5袋、冷湿布7袋です」と即座に答えてくれた。つまり両方とも35枚になって、あわせて70枚になる。「薬剤師さんて天才だ!」と思った。

 ところが63枚上限になって、またまた困っている。「63枚は2で割り切れない・・・」。温湿布と冷湿布を同数でと言う患者さんが現れないことを願っている。