
今朝の衣笠病院のチャペルで赤松牧師から、アガサ・クリスティの短編小説「ベツレヘムの星(Star Over Bethlehem)」の本の話を聞いた。名探偵ポアロの作者が著した宗教的で詩的な作品だ。クリスマスの時期に読まれる本でもある。
この「ベツレヘムの星」に収められた短編のひとつに受胎告知を描いた詩的な物語がある。その中で登場する「堕天使」がマリアにささやく場面は、天使ガブリエルの受胎告知とは異なり、寓話的で象徴的な描写になっている。
堕天使は、マリアにこうささやく。「あなたは神の子を産むが、その子は拒まれ、苦しみ、死ぬだろう。 それでも、あなたは『はい』と答えるのか?」。この言葉は、神の計画の中にある痛みと犠牲を暗示している。そしてマリアの「Fiat(なされますように)」という応答の重みを、より深く感じさせる。まるで神の愛の意志がこの世の苦しみの中を通って流れていくような、そんなイメージが浮かんでくる。
この堕天使の声は、真実の影の部分を告げる存在として描かれている。そしてマリアの「なされますように」がいかに勇気ある選択だったかを物語りのなかで際立たせている。
アガサ・クリスティといえばミステリーの女王だ。ポアロやマープルの名推理が有名だけど、実は彼女はこんなにも信仰や宗教的な問いに深い関心を持っていたのだ。このことを知って、ますますアガサ・クリスティの作品を読みたくなった。
