エッセーの投稿

マイナ保険証を持っていない人々


 外来で生活保護の方と話していて、「マイナ保険証を持っていません」と言われるので、「え~?!マイナ保険証はないんですか?」と思わず聞き返した。でも考えてみたらあたりまえなことだ。生活保護の方は健康保険に入っていない。生活保護の方は医療扶助なので、医療は公費負担でマイナ保険の対象外だ。このため生活保護の人は「医療扶助受給者証」を、医療機関で提示する。

 こうしたマイナ保険証の対象外の人は結構多い。たとえば刑務所の受刑者もそうだ。受刑者の医療は矯正医療といってやはり公費負担で、健康保険ではない。もちろん出所すれば健康保険に加入するので、マイナ保険証の対象となる。

 そのほか皇室の方々もそうだ。皇室の方も皇室経済法で「内廷費」や「皇族費」から支出されるので、健康保険証の外側の人だ。だからマイナ保険証は持っていない。

 さらに在留資格のない外国人も同じだ。健康保険に加入できないため、マイナ保険証も持っていない。そして海外在住の日本人も健康保険に加入していない場合、マイナ保険証は使えない。さらに一部の在外公館職員や外交官も特別な法的地位により、国内の健康保険制度に属さない。

 意外にマイナ保険証を持っていいない人は多いのだ。どれくらいいるのだろう。まず生活保護受給者は180万人、受刑者は4~5万人、皇室典範に基づく皇族数は20人、在留資格のない外国人は数万人、海外在留の日本人は130万人でそのうち健康保険未加入者は数万人、外交官は数千人、ざっと数えただけでも200万人以上の人がマイナ保険証を持っていない。

 これらの人は健康保険に入っていないので、マイナポータルから本人の医療情報を見ることができない。つまり災害時や救急時にこれらの人の医療情報にアクセスすることはできない。

 医療DXの対象外がこんなに多いとは思わなかった。せめて生活保護の人の医療情報についてはデータベース化できないものだろうか?