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化膿性脊椎炎


 82歳の女性で腰痛と体重減少、CRP高値、白血球増多で外来に紹介受診された。お年寄りの感染症で定番は「肺炎」、「尿路感染」、「胆嚢炎」だ。まず外来で胸の写真、尿検査を行ったけれどなんともない。感染源がわからないので、胆石があるのかもしれないと思い、胸腹部CTを撮ってみた。するとなんと胆のうは何ともないが、腰椎に化膿性脊椎炎が見つかった。第1、第2腰椎の周囲に膿瘍の疑いがあるという。

 腰痛と炎症反応は脊椎炎が、その原因だった。高齢者の脊椎炎は話には聞いたことはあるが、お目にかかるのは初めてだ。高齢者がかかりやすい「感染症リスト」に脊椎炎も入れておくべきだろう。でも一体、どこから感染したのだろう?

 患者さんに聞いてみると、最近、抜歯したこともないという。また褥瘡や蜂窩織炎など皮膚の感染病変もない。実は高齢者の脊椎炎の感染源は30~40%で特定できない。特定できる場合は血流感染だ。今回は否定されているが、尿路感染、皮膚感染、上気道感染などから細菌が血流に乗って、脊椎に到達して定着して炎症巣をつくる。だからまずは血液培養が必要だ。

 その他、医療的な手技・医療行為に伴う菌血症も脊椎炎の原因になりかねない。点滴、採血、尿道カテーテルなどの処置でも高齢者に菌血症を招くこともある。

 この患者さんの場合は、まずは血液培養の結果まちだ。

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