
2025年12月3日の中医協で、2025年9月の薬価調査が公表された。今回の調査で明らかになったのは、後発品が特許切れ品に占める数量シェアは88.8%、金額シェア68.7%であったことだ。
国は医療費適正化計画の目標値として、2029年度末までに全国の都道府県で後発品の数量シェアを80%以上、金額シェア率は65%以上と定めている。今回の調査では、全国の都道府県の数量シェアは軒並み90%超で、80%はらくらくクリアしていることが分かった。トップの沖縄県は94.1%、東京88.1%で最下位だった。金額シェアも68.7%で目標値の65%をクリアした。
この理由は明らかだ。2024年10月からの特許切れの先発品すなわち長期収載品に選定療養が科せられて、自己負担分が値上がりしたからだ。このため一斉に後発医薬品への置き換えが進んだ。
このため国は2029年度末へ向けて新たな後発品の目標を変更することを迫られている。新目標はどのような目標になるだろうか?たとえば数値目標はすべての都道府県で90%以上としてはどうだろう。現在、90%未満は東京、神奈川、大阪、京都、兵庫をはじめ9都府県だ。どこも人口の多い都市圏だ。人口が多いだけ後発品への置き換えに時間がかかるのだろう。しかし2029年までにはすべての都道府県で90%以上にはなるだろう。
金額シェアはどうだろう。金額シェアと数量シェアとほぼ正の相関がある。数量シェアがのびれば金額シェアも伸びる。数量シェアを外挿してして金額シェアを求めると、数量シェア90%以上は金額シェアで75%以上となる。
こうしたことから、2029年の新目標は数量シェアは「すべての都道府県で90%以上、数量シェアは75%以上」すなわち「9075」ではどうだろう。
このシェア率を押し上げるテコの働きをするのは、以下の二つだ。一つは特許切れの新薬、すなわち長期収載品への選択療養のさらなる値上げだろう。現在は長期収載品の薬価と最も高額な後発品の薬価差の4分の1を長期収載品の自己負担に上乗せしている。この4分の1を2分の1、さらには1分の1に値上げすることだ。
そしてもう一つは後発品にカウントされるバイオシミラーの普及だ。バイオシミラーは高額なので、その普及は後発品の金額シェアを押し上げるからだ。
2029年度末までに「9075達成」を合言葉にしよう。
