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訪問看護師不足


            2020年厚労省資料より

 訪問看護は在宅医療には必須だ。しかし2025年には団塊世代800万人の後期高齢者化により訪問看護の需要が急増する。訪問看護師の需要推計では、2020年の需要6.8万人が2025年には11.3万人と2倍近く伸びる。しかし訪問看護師の有効求人倍率をみると2020年現在ですでに3.26倍と極めて高く、訪問看護師不足が顕著だ。このためこのままでは訪問看護については、2025年の需要急増に応えることは不可能だ。2025年は深刻な訪問看護師不足となるだろう。

 この傾向は都市部に際立っている。というのも都道府県別の看護師需給推計をみると、東京、神奈川、千葉、大阪、京都、兵庫など都市部に際立って看護師不足が見込まれるからだ。理由はこれらの都市部に、1960年代の高度成長期に職を求めて団塊世代がなだれ込み、それがそろって後期高齢者化するからだ。

 この解決策はなんだろう。看護師の就業場所別割合を見てみよう。2018年現在の121万人看護師の就業場所別割合をみると病院が70%、診療所が12.8%であるの対して、訪問看護は4.2%しかない。病院の急性期医療のニーズは若年人口の減少に従って減っていく。このため病院から訪問看護事業所への看護師マンパワーのシフトが必要だ。その一つの方策が、減少傾向にある200床以下病院や診療所に併設した訪問看護事業所数を増やすことだ。現在訪問看護事業所数は全体で1.8万軒、そのうち病院や診療所に併設した訪問看護事業所は5800軒と伸び悩んでいる。こうした病院・診療所に併設した訪問看護ステーションを増やすことで、病院本体に勤務している看護師を訪問看護へとマンパワーシフトさせることができ、病院や診療所の在宅機能も強化することができる。 病院・診療所併設の訪問看護事業所の増設と、病院看護師の訪問看護事業所へのマンパワーシフトを計ろう。

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