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2026年診療報酬改定と身体拘束


 2024年診療報酬改定で、身体拘束の最小化の基準を満たさない医療機関は入院基本料か40点減算を行うことになった。改定後の身体拘束の現状はどうだろう。2025年10月の中医協資料から見ていこう。

 身体拘束の実施率は病棟ごとにばらばらだ。回復期リハ病棟では30%以上の患者に身体拘束を行う病棟が19%、療養病棟では23%だ。身体拘束の期間も療養病床では7日以上の病棟が89%、回復期リハ病棟では78%だ。これは身体拘束が常態化していることを意味している。

 身体拘束の実施理由を見るとICUではライン・チューブ類の自己抜去防止が多く、回復期リハ病棟では転倒・転落防止が多い。また身体拘束には認知症との関係も認められる。気管カニューレ、中心静脈栄養ラインを挿入されている認知症の患者の30%以上が身体拘束をされていた。一方、認知症のない患者の身体拘束も2割近く見られた。

 一方、改善の兆しも見られる。横浜市の療養病床、認知症治療病棟を持つ300床規模の病院では、職員の意識作りと環境・物品の工夫で、身体拘束ゼロを達成した。埼玉県の療養病床、地域包括ケア病棟を持つ280床の病院では、PEGチューブ、尿道カテーテル、中心静脈カテーテルなどの医療処置を見直すことで、身体拘束ゼロを達成した。横浜市の600床規模の市立病院でも管理職を含むチームによる身体拘束の院内周知で身体拘束を減らすことができた。福岡県の一般病床、回復期リハ病棟の300床規模の病院では、理念共有とケアの実践を通じて身体拘束率の減少を達成した。  

 以上から2026年改定での身体拘束最小化に関するポイントは以下である。認知症ケア加算の強化、身体拘束最小化に積極的に取り組む施設への評価、回復期リハ病棟や療養病床における身体拘束の実施状況に対する評価等。来年2月の答申に注目したい。