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AIケアプラン


 横須賀で週一回の訪問診療を行っている。横須賀のある三浦半島の中央部には三浦丘陵が連なっている。6月の梅雨の晴れ間に切通しのトンネルを抜けて三浦丘陵にある集落の一つを訪れた。そこは緑にかこまれたトトロの杜だ。ウグイスの鳴き声がする。患者さんの家の前の車を止めるといつもケアマネさんの車が止まっている。玄関のチャイムを鳴らすとケアマネさんが出てくれる。患者さんは視力障害と難聴があり、ベッドに腰かけている。最近、家の中で窓を開けようとして、転倒骨折して入院し、病院を退院したばかりだ。

 ケアマネさんが訪問診療の時にいてくれると、訪問看護の様子やヘルパーさんの話が聞けてありがたい。また入院中のことも患者さんに代わって説明してくれる。しっかりとしたケアマネさんで、我々も頼りにしている。

 ケアマネさんはケアプランを作るのが仕事だ。しかしこのケアマネさんのように在宅の現場にも出てきて、我々の話も聞いてくれるケアマネさんはそんなにはいない。先週、訪問したときはそのケアマネさんが居なくて、ヘルパーさんが代わりにいた。いつものケアマネさんに会えないことで、ちょっと寂しい気がした。

 在宅医療ではケアマネさんの存在が欠かせない。医療ニーズが高い要介護者が最期まで暮らしていくには、ケアマネさんの腕にかかっている。経管栄養、導尿、インシュリン注射といった医療行為を担う医療サービス、身体介護、生活援助といったヘルパーサービス、時にはデイサービスやショートステイなど、在宅ケアのマネジメントの手配の要となるのがケアマネさんだ。

 しかしケアマネさんは忙しい。なかなか在宅の現場に出てこれない。忙しい介護保険事務の作業の合間を縫って現場に来てくれるケアマネさんはありがたい。ケアマネ事務所のICT化やAIケアプランでケアマネさんの仕事を効率化して、現場にも出てこられるようにしてほしいものだ。いまAIケアプランに期待がかかっている。ベテランケアマネさんのケアプランを学習して、患者の介護度や疾患要件、在宅環境に合わせてケアプランを自動生成してくれる。AIケアプランでケアマネさんを事務作業から解放してほしいと思う。

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