
政府は2040年ごろを見据えた医療提供体制を確保するため、「医療法等の一部を改正する法律案」(医療法等改正案)を2024年2月14日に閣議決定し、国会に提出した。さて医療法改正案のポイントは以下の3つである。①地域医療構想の見直し等、②医師偏在是正に向けた総合的な対策、③医療DXの推進 この詳細は本Webサイトのレポートでも詳細を報じている。
この医療DXの推進を担う組織として、社会保険診療報酬支払基金(以下、支払基金)がその組織を大きく変えることになった。支払基金とは、健康保険制度における診療報酬レセプトの「審査」及び「支払」について、保険者等の委託を受けて実施する審査支払の専門機関だ。
今回、この支払基金の組織と機能が大きくかわる。まず名称が「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」となった。というのも支払基金にはすでにレセプトデータベースを保有しているが、これに電子カルテのデータベース、そして将来は自治体健診などのデータベースも集められ、まさに医療情報の総合的なデータベースセンターになるからだ。
こうしたデータベースを背景に、支払基金は国が推進する医療DX業務に大きくかかわることになる。具体的には厚労大臣が定める医療DXの総合的な方針である医療情報化推進方針に対して、支払基金は医療DXの中期的な計画(中期計画)を定めることとした。
また支払い基金の組織も見直す。理事会(4者構成16人)に代えて「運営会議」を設置、法人の意思決定を行い、業務の執行を監督することした。そして、医療DX業務を担当する常勤理事(CIO)を設置することした(図)。
そしてセキュリテイ対策ついては、重大なサイバーセキュリテイインシデントや情報漏洩等が発生した場合に、厚労大臣への報告義務を設けることとした。
変貌する支払基金の行方に注目したい。