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宮地俊彦先生と衣笠ホーム


 宮地俊彦先生は、日本医療伝道会の歴史において、医療と介護の双方の礎を築いた重要な医師の一人だ。宮地先生は、もともと衣笠病院の病院長だった。1970年、衣笠病院の敷地内に、特別養護老人ホーム「衣笠ホーム」が50床で開設されることになり、宮地先生が初代ホーム長に就任した。当時は、行政の人でさえ「特養(特別養護老人ホーム)」を「徳用」と勘違いしたり、世間からは「親を養老院に入れるなんて親不孝だ」と言われたりするような、介護への理解が非常に乏しい時代だった。

 そのような中、宮地先生の呼びかけもあり、全国からクリスチャンの職員が集まって、衣笠ホームの介護の土台を共に築き上げていった。宮地先生はその後、グループの母体である「日本医療伝道会」の理事長も務める。

 宮地先生が残した、職員の心に今も深く刻まれている有名な言葉がある。それはグループ内で「衣笠ホームのものさし(ゴールデンルール)」と呼ばれ、介護の重要な指標となっている。「たとえ5分のことを決めるのでも、お年寄りに都合の良い方を選ぼう。ここはお年寄りのためのホーム、職員の都合ではなく、お年寄りの都合を選ぼう」。

 この宮地先生が愛した聖句は以下だ。「傷ついた葦を折ることなく、暗くなってゆく灯心を消すことなく、裁きを導き出して、確かなものとする。」イザヤ書 42章 3節(旧1128p)。「傷ついた葦」とは、心や体が傷つき、自分ではもう立ち上がれないほど弱り切ってしまった人のことだ。常にこうした弱き立場にある利用者の視点に立ち、その弱さに寄り添う姿勢が、まさに聖句にある「傷ついた葦」の精神そのものだ。

 この精神が、1995年の衣笠ろうけんの開設時にもそのまま受け継がれられている。キリスト者の宮地先生のバトンが今もグループ施設内の理念として生き続けている。

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