
2023年から非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)といっていた病名が消えて、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)や代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)と言う新病名に置き換わった。
名称変更の理由はこの疾患の原因が肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などのメタボリックシンドロームであること、従来の非アルコール性の定義に反して実際には「お酒もそこそこ飲む」と言う患者が多数存在していたことから非アルコール性をひっこめたことだ。
「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」を見つけたのは、アメリカ・メイヨークリニックの病理学者であるJ. Ludwig(ルードヴィッヒ)らで1980年のことだ。彼らはお酒を全く飲まない修道院の修道女たちの中に、アルコール性肝炎とそっくりの肝障害を発見したことからこの名を付けた。この修道女のイメージが強すぎて「アルコールを飲まないこと」が全面にでていて疾患理解のじゃまをしていた。この非アルコール性と言う名称をやめてメタボを全面に出したことで、より生活習慣病疾患の一つと言う理解がこれからは進むだろう。こうした名称変更は大歓迎だ。
MASLDとMASHの違いはMASLDが軽症から中等症に対して、MASHは肝臓の炎症や線維化が進んだ重症型であることだ。肝臓の線維化とは肝臓の炎症の焼け跡に線維がはびこり最終的には肝硬変と言う病状になることだ。この線維化の程度を示す指標がFIB-4指標だ。その計算式は以下だ。
FIB-4指標=年齢×AST/血小板×√ALT
FIB―4とはFibrosis(線維化) + 4(4つの項目) の略だ。 4つの項目とは年齢、肝機能の項目のAST、ALTと血小板数だ。この指標を使って、肝臓の線維化を評価する。
この指標で消化器科への紹介をするときの基準も決まる。紹介基準は、FIB-4が2.67以上、血小板数が20万未満、ASTもしくはALTが持続的に高値、画像で肝硬変があるときだ。こうした基準で、メタボの患者で、脂肪肝の疑いがあり、さらにFIB-4指標や血小板数でMASLDやMASH疑いを見つけることができる。
これはちょうど慢性腎臓病(CKD)という疾患群の名前ができて、その指標にeGHR(推計糸球体ろか量)と言う指標ができた時と似たような状況だ。まず疾患概念が整理され、その病状の進行度を示す指標が見いだされてより早期から、専門医への紹介ができるよういなった。おかげでCKDについては認識が広まってきた。指標もeGFR60%未満が要注意との常識も広まった。これにならってMASLDやMASHなども慢性肝臓病(CLD:Chonic Liver Disease)と呼んで、指標もわかりやすく肝機能のALT値が30以上ということにしてはどうか?実際に第59回日本肝臓学会が奈良市で行われたときの奈良宣言2023では「Stop CLD ALT over 30」を掲げている。
またCKDには栄養やリハビリが必要だ。同様に慢性肝臓病(CLD)にも栄養とリハビリがキーワードだ。栄養士やリハビリ職の多職種アプローチで慢性肝臓病(CLD)の克服をしよう。
