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どうなる病院経営危機


    図表1 5病院団体の緊急要望 2025年1月22日

 インフレで病院がかつて無いほどの深刻な経営危機に陥っている。医薬品・医療材料費、人件費の高騰で病院は軒並み大赤字だ。今年は診療報酬改定年ではないので、改定率はゼロ、このまま行けば来年の今頃は大惨事になりかねない。一方、患者数も減っている。コロナ禍が過ぎても患者数は回復しない。実は生産年齢人口が減り始めているので、若者の入院が減っている。こちらが患者数減の本当の原因だ。ある日、突然病院が消え去る時代の到来だ。

ではどのようにこの経営危機を乗り切ればよいのだろうか?一緒に考えていこう。

1 インフレと病院経営危機

 2025年1月22日に、5病院団体が緊急的な財政支援措置の要望を福岡資麿厚生労働大臣に提出した。5病院団体は日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会・日本慢性期医療協会で、図表1のような要望と説明を厚労大臣に行った。

 多くの病院がいま深刻な経営危機に陥っている、経営危機の理由は物価や賃金の上昇に診療報酬の上昇が追い付いていないからだ。このため「直近の病院の経営状況を考慮し、地域医療を守るため、緊急的な財政支援措置を講じること」、「診療報酬で物価上昇に対応できる仕組み」の導入、「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲に抑制するという財政フレームの見直し」などを厚労省に要望した(図表1)。

 図表2は2020年を基準とした消費者物価指数と診療報酬の本体部分の推移をみたものだ。2021年から消費者物価指数が上昇をする一方、診療報酬の本体部分の改定率の伸びが追い付いていない。

図表2

日本経営資料 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年度(令和5年度)平均」および厚生労働省「診療報酬改定について」より

 2024年の診療報酬改定は本体部分がプラス0.88%の伸びに対して、インフレ率が2.5%にも達したため、結局マイナス1.62%ととなった。またかろうじて本体部分0.88%を達成できたのも、薬価をマイナス1%引き下げたからだ。しかし薬価マイナス改定も限界だ。すでにあまりに低い薬価の影響で、新たな新薬の上市が滞ったり、上市そのものがされないといういわゆる「ドラッグロス/ラグ」問題が深刻化している。また後発品の供給も不安定化している。これも後発品の低薬価政策が原因の一つだ。

2 病院経営危機の実態

 このようにインフレが進行するなか、2024年の診療報酬改定前後で病院の経営状態が悪化している。日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3病院団体の合同調査を見ていこう。合同調査では2024年診療報酬改定前後の2023年6月と2024年6月の経営状態を比較している。これによると2024年診療報酬家庭でプラス0.88%の本体改定率で、医療従事者の処遇改善などが図られたが、経費増加で病院の経営状況は改定前後で、医業利益率はマイナス2.3%からマイナス5.5%へ、経常利益率はマイナス7.5%からマイナス9.8%へと悪化している。また経費の伸びを2018年と2023年の間で比べてみると医薬品費が27.6%の伸び、診療材料費は14.4%の伸び、委託経費は22.2%の伸び、水道光熱費等は13.6%の伸びだった(図表3)。

図表3

5病院団体の緊急要望資料より 2025年1月22日

また自治体病院も大赤字だ。全国自治体病院協議会の2024年12月の望月泉会長の定例記者会見によると、自治体病院の2023年度上半期(4-9月)と2024年度上半期とを比較すると、医業収益は「1.8%増加」したが、医業費用はそれを上回る「3.5%増」となっており、増収減益となっているという。

そして大学病院も悲鳴をあげている。2025年5月の国立大学病院長会議では、大鳥精司会長(千葉大医学部付属病院長)は大学病院の窮状を以下のように訴えた。 「国内42の国立大学病院の2024年度収支決算は、全体の6割にあたる25病院で現金収支がマイナスに転落している。2病院の赤字総額は前年度の26億円を大きく上回る213億円に上った」、「背景には、エネルギー価格や物価の高騰により、光熱費や材料費、医薬品費などが軒並み上昇した」、さらに「医師の働き方改革に伴う残業時間の正確な把握や職員の処遇改善を一部行ったこともあり、人件費の負担増にも直面した」、もうすでに「限界にきている」「潰れる病院が出かねない」と訴えた。

こうした病院の経営状態の悪化を受けて、日本医師会の松本吉郎会長も来年2026年の診療報酬改定へ向けて以下のような要望を述べている。「物価・賃金上昇に対応する仕組み導入を」と訴えている。だが今回の物価上昇のインフレはまだ続きそうだ。このためインフレ率を考慮した診療報酬の仕組みが必要だ。また財務省が常々言っている社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲に抑制するという財政規律の見直しも必要だ。

3 インフレによる診療報酬プラス改定はありうるか?

 さてインフレによる病院経営危機で診療報酬を大幅プラス改定をしたことがかつてあった。それが1974年のオイルショック時の診療報酬改定だ。オイルショックは中東戦争を契機に原油価格が4倍にもなったことから始まる。このため石油関連商品をはじめ物価が急速にあがり、インフレ率が20%にも達した。このため病院経営も大ビンチとなった。しかしことのき国は診療報酬をなんと30%以上もアップして何とかこの危機を切り抜けた。

 以下の図表3のグラフの国民医療費の変化率(赤い線)を見たグラフだ。1974年のころに国民医療費が大きくアップしたスパイクが見られる。これがオイルショックによる大幅プラス診療報酬改定の影響だ。このころはまだ日本は高度成長期にあったので、なんとか診療報酬の大幅プラス改定で、このインフレを乗り切ることがでた。しかしオイルショック後、経済は減速をしはじめる。一方、高齢化の進展により国民所得に対する国民医療費の割合(黒い線)はウナギのぼりに上昇していく。

図表4

遠藤久夫 AMDD第3回総会の特別講演「日本経済と医療政策」2011年9月より

 実は今回のインフレも当時のオイルショックのときと似たような状態なのだ。ウクライナ戦争の継続で、原材料費やエネルギーコストが高騰して、いわゆるコストプッシュインフレとなっている。このため消費者物価指数(インフレ率)が診療報酬の改定率の増加分を上回って、経営難となっている。1974年のオイルショック当時のように診療報酬を3割増というような大幅アップをすることはできない。しかし少なくともインフレ率を上回る改定率が必要だ。それには財源が必要だ。

4 財源はどこに?

 この財源はどこにあるのだろう?この財源には消費税収が使える。このところ税収が伸びている。なんと国の税収が過去最高の75.8兆円にも上っている。この増収分を回せばいいのだ(図表5)。

図表5

 時事通信記事より2024年12月27日

2025年6月4日、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会など三師会など43団体からなる国民医療推進協議会は以下の提言を行っている。「消費税などの税増収分を財源に活用する仕組みを構築し、物価高騰や賃金上昇に対応するための原資を医療機関や薬局などが確保できるようにすべき」。日本医師会の茂松茂人副会長は、以下のように述べている。「消費税は22年度から25年度にかけて2兆円増収したが、そのうち1.7兆円を『後代への負担のつけ回しの軽減』につぎ込み社会保障にほとんど回ってきていない」と主張、消費税収入を医療機関のインフレ対策に回すべきと主張している。

また国民医療推進会議では、医療費を始めとした社会保障関連費について「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」いわゆる財政規律の「目安対応」の見直しを訴え、賃金や物価上昇分を診療報酬や介護報酬に適切に反映するよう求めた。

さてこの消費税増収分をただちに診療報酬改定の財源とできないのであれば、一時的にも国債発行をして財源を確保すべきだ。国債発行残高はすでに1200兆、これをさらに増やすのかという議論はあるが、現状では背に腹は代えられない。このような状況を放置すれば医療機関が続々と倒産する。医療機関がなくなれば国民生活に大打撃だ。

あと財源としては消費税アップもあり得る。消費税1%アップで2兆円の増収になる。しかし現在すでに10%の消費税をこれ以上アップしては、経済がますます落ち込む。また保険料アップもあり得るが、これも国民の手取りが減ってますます消費が落ち込む。またこれまで財源としてあてにしていた薬価引き下げも、前述のようにこれ以上の薬価引き下げでは薬そのものが消えてしまう。

財源の打ち出の小槌は、消費税増収分か国債しかない。いずれにせよ財務省が言うような財政規律や緊縮財政などと言っている場合ではない。

5 補助金はどうだろう?

では補助金はどうだろうか?たとえば「病床数適正化支援事業」のように、病院が1床減らしたら400万円を病院にあたえるという補助金が大人気だ。これは国による病床買取だ。ただでさえ病床の過剰な日本の病床を、なんと国が買い上げてくれるのだ。

この補助金が久々の大ヒットになっている。同補助金の1次募集分ですでに合計7170床もの応募があったという。今後ますます増えて最終的には5万4000床にも達するのではないかといわれている。逆に言うと、これほど病院の経営状況がひっ迫しているのだ。病床を売ってまで収入を得ようとしているのだ。

まるで戦後まもなくのころ、着物や家財を売って食料を手に入れていたころの「タケノコ生活」と同じだ。タケノコの皮を1枚1枚売って食いつなでいたというタケノコ生活だ。今や病院経営危機の中で、病床を売っては食いつないでいくという「令和の病院タケノコ生活」が始まったのだ。

6 病院経営危機を乗り切るにはダウンサイズと病床転換から

 日本の病床は120万床もある。しかしその病床利用率は2022年時点で一般病床69%、療養病床は85%だ。およそ35万床が使われていない。このため2025年5月29日、自民・公明・維新の協議で、11万床減らして1兆円の医療費を削減するという案が合意された。

 これは2026年から始まる新たな地域医療構想の中で実現させていくという。単に病床を減らすのではなく、病床の構造改革をともなうダウンサイジングを進めていくということだ。

 これから2040年にかけて生産年齢人口が1200万人も減る。このため急性期ニーズが激減する。こうしたことから地域医療構想では以下の図表6の高度急性期、急性期の病床は3割減としている。一方、高齢者のリハビリを行う病床は3倍増必要だ。こうした病床の構造改革の上でのダウンサイジングだ。

 けれど先述の病床数適正化事業に5万床以上も応募あったことから、意外に早く病床削減ができるかもしれない。病床が減ることで医療費が抑えられ、これを新たな財源として医療の必要な部分への投資に回すことができる。

図表6

令和2年厚生労働省白書 地域医療構想による2025年の病床の必要量資料 2020年

       

 コロナ渦が終わっても患者が戻ってこないという。この患者はもう戻ってはこない。3年に一度、厚労省が行っている患者調査の2023年版を見て改めて驚いた(図表7)。

 15歳から64歳の生産年齢の入院が1996年ごろから激減しているのだ。一方、65歳以上の高齢者人口の入院が増えている。頭では理解していたつもりだが、患者調査のグラフは衝撃的だ。1984年に80万人近くもいた若者の入院患者が2023年には3分の1の26万人にも減っている。40年間で3分の1の大激減だ。これからも入院患者減は続くのだ。もう入院患者が増えることはない。

図表7

 2023年患者調査の概況 suikeikanjya.pdf

 まず若者の減少とともに、急性期医療ニーズが減ったのだ。これからも急性期医療のニーズは減る。2010年の生産年齢人口の医療ニーズを1としたときに、2040年の医療ニーズは0.7、2060年は0.6までさがる。一方、65歳以上の高齢者の医療ニーズは増えて、2040年には1.4となり、それ以降、高齢者の人口も減るので医療ニーズは下がり2060年には1.2となる。

また手術件数もこれからは減っていく。2020年から2040年にかけて、すべての診療領域の手術件数の減少が、半数以上の二次医療圏において起きる。さらに救急搬送件数も高齢者では増えているが、増えている救急患者は軽症か中等症の救急ばかりである。

また生産年齢人口の救急搬送件数は激減している。さらに緊急手術の件数も地域によっては減っている。時間外の緊急手術の発生日数が年間7日以下と言う医療圏が39医療圏もある。このように急性期医療ニーズや緊急手術ニーズが減っている。

こうしたことから特に地方の人口減の甚だしい二次医療圏では、急性期医療の施設の機能集約が必要だ。急性期医療や救急医療を施設集約することで、医療機関は経営的にも安定する。同時に、機能集約をすると医療の質が上がることも知られている。たとえば食道がんの手術を年間5件しか行っていない医療機関と年間30症例以上行っている病院を比べてみよう。症例数の多い病院の30日以内の手術死亡率は、症例の少ない病院よりも低い。つまり手術症例が多い病院のほうが医療の質は高いのだ。減りゆく急性期医療ニーズへの対応は。地域における急性期医療の集約に他ならない。

7 ニーズが増える包括期機能

 一方、ニーズが増えるのは包括期機能と在宅機能ニーズだ。包括期機能とは地域医療構想でかつては「回復期機能」と呼ばれていた機能のことだ。この機能が2026年から始まる新たな地域医療構想では「包括期機能」と名称が変わる。その定義は、高齢者救急受け入れ、在宅復帰のための高齢者リハを併せ持つという意味での「包括期機能」だ。また病院機能としては、「高齢者救急・地域急性期機能」とも言う。この機能は「高齢者を始めとした救急搬送を受け入れるとともに、必要に応じて専門病院や施設等と協力・連携しながら、入院早期からのリハビリ・退院調整等を行い、早期の退院につなげ、退院後のリハビリ等の提供を確保する病院機能」としている。具体的には地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟、そして2024年診療報酬改定で新設された「地域包括医療病棟」が相当する。

 この包括期機能(旧回復期機能)の病床は旧地域医療構想では、2025年の必要量は37.5万床としていたが、結局2025年見込みでは21.1万床にしか増えておらず、まだ16.4万床も足りない。このため2026年からスタートする新たな地域医療構想でも、引き続き包括機能病床の増加が求められている。

図表8

厚労省 地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ資料2024年7月10日

 日本にはまだ「なんちゃって急性期病床」が多い。急性期のニーズがなくなっているのに、なぜか「急性期」にしがみつく病院が多い。なぜかそうした病院の経営者は「急性期を止めると職員のモチベーションが下がる」と言う。職員のモチベーションのために病院経営を行っているのだろうか?病院は地域ニーズに応えてこそ病院としての存立がかなう。こうした病院で起きていることは、病床利用率の減と、それをくい止めるための苦肉の策としての「在院日数の延長」だ。在院日数を伸ばしている病院は、急性期一般病床2,3の病院や、地域一般入院料3の病院が多い(図表9)。こうした在院日数を伸ばしている病院はもはや危ない。

図表9

こうした病院は放置すればつぶれていく。このため地域包括ケア病棟や地域包括医療病棟へ転換して、「高齢者救急・地域急性期機能」の病院になることが必要だ。

 著者が勤務する日本医療伝道会衣笠病院グループもまさにこの危機感の中だから病床機能を転換し、ダウンサイズを行った病院だ。衣笠病院は人口39万人の横須賀市に立地し、病床数は194床の200床未満のケアミックス型病院だ。病床区分は急性期一般入院料4病床(50床)、地域包括ケア病棟(91床)、回復期リハビリ病棟(33床)、緩和ケア病棟(20床)である。2014年、2015年にかけて急性期一般病床から地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟への転換を行っている。病床数は最盛期は290床もあったが、徐々に減床して、2023年には200床以下となった。

 また併設施設に老健、特養、訪問看護ステーション、通所介護事業所などを持ち、2018年からは訪問診療クリニックも併設した。衣笠病院ではコロナ後一時的に患者数が減ったが、このところ患者数増加が止まらない。今年の1月の実績を見ると、高齢者救急の依頼件数が月間74件で、その応需率が69%、入院率57%に達していて高齢者救急を受け入れる地域の病院としての役割を果たしている。また病床利用率は87%に達し、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟では95%に達している。さらに平均在院日数は23日だ。そして75歳以上の後期高齢者割合は70%、その在宅復帰率は80%台に達している(図表9)。まさに先述の「高齢者救急・地域急性期機能」にぴったりの病院だ。おかげで2025 年1月は単月黒字に転換した。

図表10

8 激増する在宅ニーズ

 包括期機能が激増すると同時に激増しているのが在宅医療ニーズだ。これも患者調査を見ていこう。患者調査によると、在宅医療を受けた推計外来患者数は1994年から2023年の30年間でなんと3倍に増えている(図表11)。

図表11

著者の勤務する衣笠病院でも在宅需要が増えている。最近、外来で在宅訪問診療を希望する高齢者が後を絶たない。先日も外来をしていたら、90歳台の高齢のご主人が85歳の奥さんの車いすを押しながら診察室にこられた。ご主人によると「自宅前の5段の階段を下りて福祉タクシーまで妻を支えながら外来に来るのが大変だ」という。「そろそろ在宅医療に切り替えますか?」というと、待ってましたとばかり「お願いします!」という。

 こんな具体で外来通院の困難な患者が増えている。著者も週1回だが、衣笠病院附属剤在宅クリニックで訪問診療のお手伝いをしている。訪問診療を始めて分かったことは、横須賀は坂や階段が多いことだ。40段の階段を上って患者さんのお宅を訪問することなどざらだ。「よくぞこの階段を下りて病院まで通院していたとは!」と感心することがたびたびだ。

 それと在宅診療で実感したのは、施設在宅が増えたことだ。有料老人ホームやグループホームなどの施設への訪問診療が1割くらいを占めている。実際にこうした介護施設は介護保険がスタートした2000年以降、150万床まで増えた。病院病床が精神病床も含めると150万床だから、病院病床と同じくらい増えたのだ。

新たな地域医療構想ではこうした在宅医療機能のことを「在宅医療等連携機能」と呼んでいる。具体的には地域での在宅医療の実施、他の医療機関や介護施設、訪問看護、訪問介護等と連携した24時間の対応や入院対応を行う」としている。

 こうした在宅医療等連携機能を担う医療機関の代表には在宅療養支援診療所(在支診)と在宅療養支援病院(在支病)がある。

 在宅療養支援病院とは患者の求めに応じ24時間往診(医師)と24時間訪問看護(看護師)の提供が可能な体制を確保することができ、緊急時にご家庭に赴き、また直ちに入院できるなど必要に応じた医療・看護を提供できる病院のことだ。

衣笠病院では併設施設に在宅クリニックや訪問看護ステーションを有している。今年1月の訪問診療実績は衣笠病院附属在宅クリニックで訪問診療延べ286件、往診 40件、衣笠病院訪問看護ステーションでは訪問看護延べ561件、訪問リハ延べ103件である。こうした実績を活かして今、衣笠病院は機能強化型在宅療養支援病院の取得を目指している。

 以上、最近の病院の経営状況の悪化とその対応について見てきた。基本的にはインフレが収まるまでインフレ率を上回る診療報酬増加や補助金によって病院経営を支えていくことが必要だ。

しかし一方、病院も変わらなくてはならない。それは医療ニーズに合わせて病院の機能転換とダウンサイジングを行うことだ。つまり2026年からスタートする新たな地域医療構想を前倒しで実施することが必要だ。病院の経営状況は危機的だ。迅速な意思決定と果敢な対応が必至だ。

参考文献

5病院団体の緊急要望 2025年1月22日

日本経営資料 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年度(令和5年度)平均」および厚生労働省「診療報酬改定について」より

遠藤久夫 AMDD第3回総会の特別講演「日本経済と医療政策」2011年9月より

時事通信記事より2024年12月27日

令和2年厚生労働省白書 地域医療構想による2025年の病床の必要量資料 2020年

2023年患者調査の概況

厚労省 地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ資料2024年7月10日

厚生労働省入院・外来分科会 2023年6月8日