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医療保険制度を「受療中心」からセルフマネジメント推進へ


セルフマネジメントの4つの前提と2つの提言

前提1 健康格差・所得格差を放置しない社会的弱者を切り捨てる内容としない。国民のヘルスリテラシー向上のための健康教育と、情報発信の強化をあわせて求める。

前提2 医療保険制度の中核を守る制度の持続可能性を追求する。OTC検査薬の推進と、日本版・自己管理型医療貯蓄口座(仮称)の制度導入がこれにあたる。

前提3 医療機関の経営改善にも寄与するSDMの診療報酬評価、かかりつけ医機能の評価、セルフマネジメント拠点(仮称)の整備を通じて、病院・診療所等の経営状況の改善にもつながるものとする。

前提4 時代の変化に応じて制度を変える個人の健康づくりの評価(PAMスコア)、インセンティブの設定、セルフマネジメント給付(仮称)の設定、重症化予防等の選定療養の推進を通じて、制度を変えていく必要があることを示す。

提言 1 セルフマネジメントを推進する環境の整備

  1. SDM(協働意思決定)の推進と、それを支えるデシジョンエイドの整備選択肢・長所・短所・本人の価値観を整理して選べるようにする。診療報酬上の評価は現在ごく限られている(腎代替療法指導管理料)ため、これを拡充する。あわせてMindsの診療ガイドライン整備の枠組みにデシジョンエイドの開発・公開を組み込み、作成への財政支援を行う。
  2. 医療従事者の役割変革と、国民への健康教育の実施診療報酬でSDMを評価する際に、デシジョンエイドを用いた実施と医療従事者の研修履行を要件とする。あわせて初等中等教育からの健康教育を制度化し、身近な健康相談を受ける場としてのかかりつけ医機能の強化と両輪で進める。
  3. 体外診断薬のOTC化等の環境整備治療・予防にOTC薬の適用がある疾患の検査薬は、速やかに一般用検査薬としてOTC化する。自己採血・検体の郵送・針の処理など、使用に伴う法規制の整備もあわせて進める。
  4. 社会的基盤の整備とAI技術の活用いつでも健康相談できる「セルフマネジメント拠点(仮称)」を、医療機関・健康増進支援薬局のほか、有資格者のいる施設や分野別に実績のある当事者団体を含めて、基礎自治体・事業者の単位で整備する。あわせて生成AIによる健康管理・相談の社会実装に向けた法規制を検討し、国民向けの医療・健康情報サイトの整備と国による認証を行う。

提言 2 保険給付範囲の縮小に備える

  1. セルフマネジメント給付(仮称)の創設と、重症化予防に関する保険外併用療養費の拡充疾病の治療を前提とした給付範囲を抜本的に見直し、健診・検診・保健指導・予防接種・健康づくり事業を包含する新たな給付を創設する。あわせて、療養の給付とこの新給付の中間にある重症化予防について、選定療養を拡充するなど保険外併用療養費制度の運用を柔軟にする。
  2. 個人の健康づくりの体系的評価の導入と、セーフティーネットとしての民間保険等の活用英国NHS等で医療費抑制の実績があるPAM(患者活性度)スコアの概念を段階的に導入し、健康づくりの努力を評価してレベルに応じた支援につなげる。あわせて米国のHSAを参考とした日本版「自己管理型医療貯蓄口座(仮称)」の導入を民間保険会社等に要請し、評価に応じて保険者が拠出金へ補助する。社会的弱者への慎重な配慮を前提とする。
  3. 委員
    座長 武藤 正樹 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ 理事
    委員 飯野 奈津子 日本専門医機構 理事(元 NHK解説主幹)
    委員 一戸 和成 学校法人 東京女子医科大学 理事(医療部門担当)/杏林大学医学部 客員教授(元 厚生労働省保険局医療課課長補佐)
    委員 岩橋 恒太 特定非営利活動法人 akta 理事長
    委員 唐澤 剛 社会福祉法人サン・ビジョン 理事長(元 厚生労働省 保険局長)
    委員 小坂 雅人 東京海上日動火災保険 個人商品業務部
    委員 田村 誠 国際医療福祉大学 特任教授(元 中医協 専門委員)
    委員 俵木 登美子 一般社団法人くすりの適正使用協議会 理事長(元 厚生労働省 安全対策課長)
    委員 中山 和弘 聖路加国際大学 教授
    事務局 フェアリンク株式会社
  4. 報告書全文はこちらから⇒ セルフマネジメント推進研究会|医療保険制度を「受療中心」から「セルフマネジメント推進」へ