
ブラックマンデーとは、1987年10月19日の月曜日に起こったニューヨーク株式市場の大暴落のことだ。、1日の取引で508ドル(22.6%)下落した。
この日、著者はちょうどブルックリンの大学病院の放射線科の読影室にいた。家庭医療科のローテーションで、レントゲン読影室にレジデントと一緒にいた。当時はまだレントゲンフィルムを読影用のシャウカステンにかざして読影をしていた。読影する放射線科の教授は、読影の説明が巧みでレジデントからは人気だった。大勢のレジデントが教授を取り囲み、その説明に聞き入っていた。
月曜日の朝のいつもの風景だった。それが10時ごろ、急に読影室が騒がしくなった。後ろの方でレジデントが話す声がだんだんと大きくなってくる。薄暗い部屋の真ん中に座ってレントゲンフィルムの説明をしていた教授が「静かにしろ!」と珍しく声を荒げた。私も驚いて後ろを振り返った。すると後ろの方のレジデントが部屋を駆け出ていくのが目に入った。その数がどんどん増えて、なんと最後に残ったのは私を含めて数人だった。教授は「何があったんだ?!」と呆然としている。
これがブラックマンデーだった。その日の夕方のテレビでウオール街の証券取引所の惨状を中継していた。ニューヨークタイムスの号外もでた。ブラックマンデーの原因は、当時の米国は財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」を抱えており、ドル安に伴うインフレ懸念が浮上したことだ。それに証券取引に導入されたコンピューター取引で一気に株価の下落を招いたことも原因とされた。
ニューヨーク市場の暴落は全世界に波及し各国で同時株安に陥った。読影室から走りでたレジデントも株を買っていたのだろう。
