エッセーの投稿

刑務所巡り


 一度、法務省矯正局からの依頼で刑務所巡りをしたことがある。刑務所の受刑者に対する医療は矯正医療といって税金で賄われている。このため会計検査院が矯正医療におけるジェネリック医薬品の使用率向上を指摘したという。これに対して矯正局は実態調査をということで調査のおはちが日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会の著者に回ってきた。

 2023年現在、全国の刑務所数は60あまり、収容されている受刑者数は3万5千人ぐらいだ。これらの刑務所でどれくらいジェネリック医薬品が使われているかを調査した。そして実際に数か所の刑務所にも訪問した。刑務所を見学するのは初めてだ。

 仙台にある宮城刑務所にも出かけた。宮城刑務所はもともと伊達政宗のお城跡に作られている。庭には伊達政宗が朝鮮戦役で持ち帰ったと言う松も見学した。一般には公開されていない貴重な松だという。確かに刑務所の敷地内なので一般公開は難しいだろう。

 刑務所に勤務している医師は矯正医官と呼ばれている。矯正医官から話を伺うこともできた。ジェネリック医薬品について聞くと、「できるだけ後発品を使っている」と言う。確かにジェネリックの使用率も高かった。

 さて刑務所の医療を担当する矯正医官は全国250人ぐらいいる。しかし慢性的な人員不足だという。一方、刑務所の医療需要は増えている。今刑務所で問題になっているのは受刑者の高齢化だ。高齢化で認知症の受刑者が増えているという。さらに透析医療が必要な受刑者も増えているという。受刑者を透析医療で外部の医療機関に通院させるのが大変だという。2人の刑務官がつきそって週2回透析は確かに大変だろう。

 あと拘置所と刑務所の違いも初めて知った。拘置所は未決囚が収容されるところだ。一方刑務所は既決囚が収容されているところだ。死刑執行は拘置所で行われる。理由は、死刑囚は死刑が執行されるまでは未決囚だからだ。