
ジギタリス(Digitalis)はキツネの手袋(Foxglove)という名の植物だ。花が指サックのような形なので、この名前が付いた。DigitalisのDigiとはラテン語の指(Digitus)に由来する。
さてこの植物が心不全に有効だと見出したのは、イギリスの医師で植物学者のウィリアム・ウィザリング(William Withering)だ。彼は1775年頃、ある民間療法でジギタリスが心不全の症状に効果があることに気づき、研究を始めた。そしてジギタリスの葉が心臓病、特にうっ血性心不全に有効であることを見出した。
その後、ジギタリスの葉から有効成分のジゴキシンなどを抽出したのはドイツの化学者たちで19世紀から20世紀初頭のことだ。
家の庭にジギタリスを植えて育てたことがある。黄色い花を咲かせて観賞用の花としても美しい。でもある年からジギタリスが庭から消えた。家内が雑草と間違えて抜いてしまったからだ。

八角は、中国原産の「トウシキミ」という木の果実を乾燥させたものだ。その独特の香りから中国料理のスパイスに欠かせない。この八角の成分であるシキミ酸がインフルエンザ薬として知られるタミフルの原材料に使われていることで、話題になったことがある。
しかもこの八角は中国南部やインドシナ半島でしか栽培が出来ないと言われている。最近、ベトナムでも八角の栽培とシキミ酸の抽出が始まった。このように薬には生薬を原料とするものも多い。ただシキミ酸については遺伝子組み換え技術で大腸菌に作らせることも可能となった。このため八角への依存も減って行くのだろう。

けしの花の実の乳液(アヘン乳液)には、強力なアルカロイドが含まれている。主な成分はモルヒネ、コデイン、パパベリンなどだ。だからけしの花の実は麻薬原料植物に指定されていて、栽培・所持が厳しく制限されている。特に「アツミゲシ」や「ハカマオニゲシ」などは違法栽培植物だ。知らずに育ててしまっても処罰の対象になる。
子供のころに文鳥を飼っていた。鳥かごを日当たりのよい縁側に置いていた。するとその鳥かごの置いてあった縁側近くの庭から、ケシの花が咲き出してきた。植えたことはないのになぜだろうと思った。あとで気が付いたのは文鳥の餌の中にケシの実が含まれていて、それが庭にこぼれ落ちて発芽して、ケシの花を咲かせたのだ。
ただ、この小鳥の餌のケシの実は麻薬成分を含まないように処理されている。知らずに麻薬原料植物を植えていたということにはならないので、ご安心を。
