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湿布薬と特別料金


 2027年3月から、市販のOTC医薬品と効能効果が類似する処方薬(OTC類似薬)に特別料金が追加され、患者の自己負担分がアップする。この検討を行う「OTC類似薬の技術的検討会」(座長著者)で特に問題となったのは、ロキソプロフェンなどのNSAIDsの湿布薬である。外来でも患者から「処方の湿布薬を」と頼まれることが多く、処方制限の上限いっぱいの63枚を処方するケースも少なくない。

 確かに、患者にとっては湿布薬をドラッグストアで買うとかなりの値段になるため、医療機関で処方してもらった方が断然安い。今回の制度は、こうした処方薬と市販のOTC薬における自己負担の公平性という観点から導入された面もある。

 ただ「慢性腰痛診療ガイドライン」によると、NSAIDsの湿布薬には一定の効果はあるもののその度合いは大きくなく、漫然とした長期投与は避けるべきとされている。これまで外来で気軽に「湿布薬をお願い」と言っていた患者も、「特別料金がかかりますよ」と伝えれば、63枚処方は減るかもしれない。

 ただし、湿布薬の中には長期連用でもエビデンスが存在するものもある。今回の検討対象となる77成分には含まれていないが、「エスフルルビプロフェン」(商品名:ロコアテープ)は、変形性関節症を対象とした52週間の長期投与試験が実施され、効果の持続が確認されている。こうしたエビデンスがあれば通年処方でも問題ないため、今後はロコアテープに切り替える医師も増えるのではないだろうか。

 一方、病状が重い場合には、今回の特別料金の対象外とする例外規定も設けられた。例えば変形性関節症におけるKellgren-Lawrence(KL)分類のGrade 4など重症例では、通年処方に加え、画像診断で重症度が客観的に示された場合では、特別料金の対象外とされた。ただしこれは例外措置で、2028年までの経過措置とされている。経過措置期間内に診療ガイドラインのエビデンス状況や制度実施後の使用実態等を踏まえ、見直しが行われる予定だ。重症度を要件に加えたのはこの例だけだ。たしかに重症度を加えるとの気持ちはわかる。しかしこうした例外を事前に認め始めるとキリがない。制度がますます複雑化し、現場の運用に混乱をきたす。今回のOTC類似薬に対する特別料金の導入は、前例のない初の試みである。まずは導入してみて、事後的に検証して手直ししていくことの方が合理的だろう。

 この制度導入は来年2027年3月からだ。すでに中医協では、この制度に対応した新しい処方せんの様式案も示されている。新処方せんでは、特別料金の対象となるOTC類似薬には「〇」、対象外のOTC類似薬には「-」を付けることになっている。制度の順調な発足を祈るばかりである。