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精神科身体拘束


 杏林大学の長谷川利夫教授らは国際共同研究で、精神科で身体拘束の人口あたりの頻度の国際的に比較した。それによると身体拘束の頻度は、日本はオーストラリアの約599倍、米国の約266倍、ニュージーランドの2000倍以上にも上るという。

 事例を見ていこう。2017年5月、ニュージーランド出身の英語補助教員のケリー・サベジさんが神奈川県の精神科病院で身体拘束をされて約1週間で心肺停止になり、転送先の病院で亡くなった。ケリーさんは当時27歳だった。ケリーさんは亡くなる前に精神科病院で両手足首と腰をベッドに約240時間拘束された後、心肺停止状態になり、別の病院に緊急搬送されたが搬送先の病院で亡くなった。ケリーさんは高校生の時にうつ病を患い入院も経験したが、ニュージーランドの病院では身体拘束をされたことはなかったという。 

 今回の日本の病院における精神科の対応では、ケリーさんが看護師や医師に対し暴力的な行動に及んだり、入院についての反抗的な対応をしたりすることはなかった。しかしそれにも関わらず、10日間にわたり保護室の外から鍵をかけられ、ベッドに拘束された。死因は肺栓塞だ。この事件はニュージーランドのメデイアが「なぜ彼は死んだのか?」として、日本の精神医療に対する痛烈な批判を込めて報道した(図)。

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