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がんの入院患者が減っている


 今年3月に開催された「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」が公表したグラフを見て驚いた(図)。入院がん患者が年々減っているのだ。がんと言えば高齢者の疾患、高齢化が進めば当然、入院患者も増えると思っていたが、違った。グラフをみると全体にがんの推計入院患者が減っている。なかでも64歳以下の青壮年層の減り方が著しい。次いで65歳以上、75歳未満の前期高齢者の減っている。一方、75歳から84歳未満の後期高齢者も減ってはいるが、減り方はゆるやかだ。ところが85歳以上の超後期高齢者は逆に増えている。

 全体に入院患者数が減ったのは以下の要因だ。一つは病院の平均在院日数が減ったたことだ。がん患者の平均在院日数は2002年35.7日が2023年には14.4日と半減している。またがんの治療の場が入院から外来に移ったことも影響している。入院の手術療法から外来での化学療法、放射線療法に移ったことも入院が減った原因だ。このため入院と外来を合わせたがん患者数はそれほど変化していない。

 また手術が減ったことも入院が減った原因だ。そもそもがんで手術療法の適応になるのが若者であるので、若者人口の減少が手術件数に影響している。15~64歳では手術療法が6割を占めるが、65歳以上の高齢者の手術療法は半分以下だ。高齢者になれば若者よりは侵襲的な手術療法を行わない。さらに最近、外科医の数が伸びなやんでいることも手術数が増えない原因の一つだ。

 このため地方のがんセンターは軒並み病床利用率が減っている。群馬県前橋市にある群馬県立がんセンターなどは2011年の病床利用率79.3%が2020年にはなんと56.9%にまで落ち込んでいる。これから地方のがんセンターはどうなるのか?

 がんセンターではなく一般の県立病院になるのか?

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