
今年は季節の変わり目の気温の変化が例年になく激しい。今日は初夏の暑さの中での訪問診療だった。衣笠は三浦半島の丘陵地帯にあるので、坂と階段が多い。狭い坂道を軽自動車で駆け上がり、患者さんのお宅の階段前の道に車を駐車する。そこから40段余りの階段が始まる。汗をふきふき階段を上りきると、ようやく門につく。門扉を開けて庭にでると、急に見晴らしがよくなり、涼しい風が吹き抜けて一息つく。
玄関を入ると一人暮らしの高齢女性が所狭しと家具に囲まれた狭い部屋の中で、低い座椅子に腰掛けている。話好きな女性はあれこれと日常の出来事を話してくれる。ふと見ると、座椅子の脇に見慣れぬ1本のポールが立っている。床から天井まで洗濯の物干しのようなポールだ。「どうして立てたんですか?」と聞くと、「ケアマネージャーに座椅子から立ち上がる時につかまるところがない」と相談した。すると介護保険の住宅改修で取り付けてくれいたという。「このポールがとてもいい」という。「座椅子から立ち上がる時にも楽だし。座るときにも助かる。それに体操をするのにもちょうどいい」という。ポールにつかまって手を伸ばしたり、腰を伸ばしたりしているという。まるで「ポールダンスリハビリ」だと思った。たかだか1本のポールだが、本人はとても喜んでいた。
介護保険による住宅改修は、手すりの取り付け、段差の解消、扉の取り換え、屋内の床や通路の材料の変更、便器の取り換えなどをしてくれる。手続きをすれば数千円から1万円程度の自己負担で改修してくれる。改修によって日常の暮らしも便利になるし、転倒事故も防げるなど、住宅改修は在宅の強い味方だ。
はじめての訪問診療のときにはできるだけ、患者さんの動線にそって台所やお風呂場やトイレ、寝室を見て回ることが必要だ。ちょっとした改修でずいぶん使いやすくなる事も多い。住宅リフォームのアドバイスも訪問診療の役目の一つだ。
