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テキサスのタラリコ


 米国の中間選挙で上下院とも民主党が過半数を占めて圧勝した。その中でも注目をあびたのがテキサスのジェームズ・タラリコ氏だ。もともと公立中学の社会科の先生だ。同時にテキサス州オースティンにあるオースティン長老派神学校に入学し、キリスト教神学や宗教倫理を本格的に学び、神学修士号を取得している。

 タラリコ氏の勝利宣言の演説の最後のフレーズが耳に残った。それは「今こそ机をひっくり返す時だ(It’s time to turn over the tables)」と言うフレーズだ。日本語の「ちゃぶ台返し」に相当する言葉だ。まさに青の民主党がこれまでの赤の共和党の牙城を青でひっくり返したという意味も込められている。

 でもこのフレーズは聖書の以下の有名な箇所からの引用だ。「ユダヤ人の過越祭が近づいたので、イエスはエルサレムへ上って行かれた。そして、神殿の境内で牛や羊や鳩を売る者たちと、座って両替をしている者たちをご覧になった。 イエスは縄でむちを作り、その者たちをみな、羊や牛と一緒に神殿から追い出し、両替人の金を散らし、その台を倒された。 そして、鳩を売る者たちに言われた。『これらをここから持って行きなさい。わたしの父の家を商売の家にしてはならない。』」(ヨハネによる福音書 2章14節〜16節)。

 なぜイエスは怒りをあらわにしたのか?それはエルサレム神殿の「異邦人の庭」と呼ばれる場所で、神殿税を納めるための両替商や、神殿でささげるためのいけにえ(羊や鳩など)を法外な値段で売る商売が横行していた。これが神聖な礼拝の場を商業化しているとして、イエスが怒って追い出したのだ。この行為は「宮清め(みやきよめ)」とも呼ばれる。

 これはトランプ政権に対する痛烈な批判だ。彼は、トランプ政権の政治的な腐敗や経済格差、一部の富裕層や権力者が私腹を肥やす構造を批判する際に、「今こそ机をひっくり返す時だ」を聖書の宮清めになぞらえて、たびたび引用している。

 タラリコ氏はテキサス州に8代続く家系に生まれた。祖父が南テキサスのバプテスト派の牧師であったことから、強いキリスト教的環境の中で育った。そして教会は、プロテスタントの主要教派であるアメリカ合衆国長老教会に所属している。

 アメリカの南部や共和党支持層の強いテキサス州において、保守派政治家やキリスト教右派が「キリスト教ナショナリズム」的なイデオロギーを主張するのに対し、タラリコ氏は聖書の言葉、「社会的弱者への愛」「権力や不正への批判」を引用してそれに反論している。

 聖書を知ることは米国を知ることに役立つ。

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