
身体拘束について一般病院、介護保険施設、精神科病院における現状と報酬動向、法令を見ていこう。
病院病床における身体拘束の実施率は0~10%未満が最も多いが、一方、その実施率が50%を超える病棟病室もある。2024年診療報酬改定で入院料の基本ルールを定めた「通則」において「身体拘束を最小化基準とその体制整備」の導入が計られた。具体的には緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行ってはならないこと、身体拘束を行う時には理由を明記すること、身体拘束最小化チームを設けること。これに違反した場合、入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術等基本料の所定点数から1日につき40点を減算することとした。
次に介護保険施設における身体拘束を見ていこう。介護保険施設においても入所者の2~3割に身体拘束が行われている。2006年に介護報酬に身体拘束未実施減算が導入され10%減算が行われた。
精神科病院における身体拘束を見ていこう。精神科病院では1988年の精神保健福祉法において、医療又は保護に欠くことのできない限度において必要な身体拘束を行うことが出来るとした。この結果、身体拘束の件数は増加の一途をたどっている。杏林大学長谷川利夫教授らの国際共同研究「精神科身体拘束の国際比較」によれば、日本の人口あたりの精神科の身体拘束の頻度は、米国の約266倍、オーストラリアの約599倍、ニュージーランドの2000倍以上という。
以上のように一般病院では身体拘束の最小化は診療報酬の入院料の通則、介護保険施設では介護保険指定基準で定めている。一方、精神科病院では法令により定めている。このように対応はまちまちだ。「身体拘束最小化法」のような基本法が必要ではないのか?
