
Viagra(バイアグラ)の語源は 「生命のナイアガラ」という説がある。俗説だが、それらしくできていて秀逸だ。製造元のファイザー社は Viagra の語源を公式には明らかにしていない。しかしvigor(活力)+ Niagara(ナイアガラの滝) という説が巷ではもっともらしく流布している。
別のED薬の Cialis(シアリス)の語源がCiel(空)+ Alice(女性名)というのも俗説だ。製造元のイーライリリーは語源を公表していない。
これに類似しているのがマンジャロだ。マンジャロはキリマンジャロから来ているという俗説だ。雪をいただくアフリカの最高峰のキリマンジャロだ。糖尿病でHbA1cがものの見事に下がるので、まさに糖尿病薬の最高峰と言う意味だ。しかしこれも俗説だ。イーライリリーは本当の語源を明らかにしていない。
糖尿病薬の王様のインスリンの語源は明らかだ。インスリン(insulin)の 語源は「島(insula)」だ。この島の名前はランゲルハンス島だ。インスリンを分泌するB細胞がランゲルハンス島にある。発見したのはパウル・ランゲルハンス(Paul Langerhans, 1847–1888)だ。発見したとき、彼はまだ21歳のベルリン大学の医学生だった。このランゲルハンス島からインスリンが分泌しているのを見出したのはカナダのバンティングとベストで、1921年のことだ。このベストもまだ医学生だった。
地名に由来する薬の名前も多い。カスガマイシンは奈良の春日大社の土の中の放線菌から抽出されたのでカスガマイシンだ。またコルヒチンは黒海沿岸の古代都市 Colchis(コルキス)から来ている
人名由来も多い。ニコチン(Nicotine)の語源はフランス外交官ジャン・ニコ(Jean Nicot、1530–1600)だ。ニコは、フランス王アンリ2世の外交官で、ポルトガル駐在大使だった。このニコがポルトガルでタバコ(当時は薬草扱い)を知り、「万能薬になる」と信じてフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシスに献上したのが始まりだ。このためニコチンの語源は外交官ニコの名前に由来する。
