
ときどき今は無くなった新宿戸山の病管研(国立医療・病院管理研究所)のことを思い出す。病管研にいたのは1994年ごろのことだ。病管研は戦後、GHQの勧告を受けてできた研究所で、病院経営や医療提供体制の政策研究を行っていた。
病管研には建築専門家もいた。著者は病院建築の専門家と話しをするのが好きだった。
現在は工学院大学にいる筧敦夫さんや夭折された外山義さんから、病院建築や高齢者施設設計の話を聞くことが多かった。
筧さんが言う。「日本で病床1床当たりの面積基準が4.3平米と決められたのはどうしてだかわかる?」「分からない。何で半端な数字で決めたんだろう」「それは京間(きょうま)の広さから決めたからだ」「え~京間?」「京間っていうのは、関西地方で使われている畳の寸法で、1畳が約1.82㎡なんだ。この2枚分が約3.64㎡。でも、病床スペースにはベッドの周囲の移動スペースも必要だから、1.5畳〜2.5畳分くらいを想定すると、4.3㎡前後になるんだよね」「な~るほど!京間サイズが基準ということか!」
ユニットケアの発案者の外山さんに聞いてみた。「老健や特養のユニットケアは9部屋だけど、どうして9人なの?」「それは家族構成から割り出したんだ。ユニットケアという介護手法の理念は家族単位で居間を囲むというアイデアに基づいてるんだ。これは、利用者一人ひとりの生活リズムや個性を尊重しながら、家庭的な雰囲気の中でケアを提供することを目指している。9人という人数は、ちょうどいいバランスなんだよね。多すぎると個別ケアが難しくなるし、少なすぎると人間関係が閉じすぎてしまう。『小さな家族のような共同生活』をイメージしたんだ」「なるほど、祖父母、両親、子供5人のイメージだね」「そうそう、それがユニットケアの人数イメージだね」。
