
昨日の外来にみぞおちと背中の痛みを訴えて70代の女性がこられた。腹部エコーを行ったら、立派な胆石だった。「胆のうの中に胆石がありますよ」と言ったら、ビックリしていた。今まで全然痛みがなかったという。「クスリで溶けますか?」というので、「ウルソがありますよ」というと、「ウルソって何ですか?」と聞く。「今、評判の熊ですよ」というとこれまた驚いていた。
「ウルソ」はラテン語の ursus(熊)に由来している。もともとは 熊の胆汁から発見されたウルソデオキシコール酸のことだ。昔は熊の胆(くまのい)と呼んでいた。それを化学合成して医薬品にしたものだ。
以前、栃木の那須塩原の国際医療福祉大学のクリニックで外来をしていたとき、猟友会のメンバーが患者さんに居た。熊を捕獲して熊の胆も取ったことがあるという。熊の胆のうを取り出して、口をしっかり縛り、一度お湯につけてから、2枚の板の間に挟んで板ごときつく縛って、水分をとり乾燥させて熊の胆を作るそうだ。かちかちの熊の胆は漢方薬の生薬として高く売れると言っていた。この熊の胆の有効成分のウルソデオキシコール酸は胆汁の分泌を促したり、コレステロールの胆石を溶かす効果がある。
さて熊は冬の夜空にもいる。おおぐま座とこぐま座だ。おおぐま座はラテン語でウルサ・マヨール(Ursa Major)だ。おおぐま座は北斗七星を含む、北の空で最も目立つ星座だ。こぐま座はウルサ・ミノール(Ursa Minor)で、北極星を含む星座で、航海の道しるべにもなっている。
熊も悪さばかりをしているわけではない。人の役にも立っているのだ。
