エッセーの投稿

便潜血2回法


 外来でよくオーダーする検査に便潜血がある。健診でも便潜血は必須検査だ。便潜血はたいてい2回法を用いる。1日目と2日目の便から便をとって採便キットに入れる。

 この便潜血法は結腸がんや結腸ポリープの診断方法で最も効果的だ。ただこの便潜血法には誤解もある。それは便潜血1回陽性と便潜血2回陽性で疾病発見率に大きな違いがあると思っている誤解だ。著者も以前は健診で便潜血1回陽性の患者さんにもう少し様子を見てみましょうと言っていた。大腸内視鏡は検査の前処置の下剤をかけるのが高齢の患者さんにとっては苦痛で負担なので、つい二の足を踏みがちになるからだ。

 でもこれで痛い目にあったことがある。1回陽性の高齢の患者さんを経過観察していたら、半年後に再度陽性で、大腸内視鏡をおこなったら盲腸がんが見つかったのだ。それからは1回陽性でも迷わず大腸内視鏡を勧めることにしている。

 さて便潜血1回陽性と2回陽性でどれくらいの大腸がんの発見率に差があるのだろう。1回陽性の大腸がん発見率 約3〜5%もある。一方2回陽性では大腸がん発見率 約5〜10%となりおよそ1回陽性の約2倍となる。1回法は間欠的な出血の可能性、2回陽性は持続的な出血の可能性を意味する。このため2回陽性であれば確実に大腸内視鏡の適応だが、1回陽性でも同様に大腸内視鏡の適応となるだろう。1回陽性の患者に、もう一度、便潜血を行って2回陽性を確かめてからというのは意味がない。国のガイドラインでも再検査は推奨されていない。

 ガイドラインは明確に 「陽性後、速やかに精密検査を受けること」を推奨している。また便潜血陽性者の内視鏡受診率は検診制度そのものの重要な評価指標でもある。また便潜血は費用対効果が極めて高い健診項目とされている。便潜血という簡単で安価な検査方法で、確実にがんを発見できるからだ。

 結腸がんや結腸ポリープが増えている。こうしたなか便潜血法はもはや結腸がんの早期発見の必須アイテムといえる。

 

エッセーの更新履歴

最新10件