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傷ついた葦


              ブレ―ズ・パスカル

 今朝の衣笠病院のチャペルの礼拝の聖句は旧約聖書イザヤ書42章3節の「傷ついた葦を折ることなく、くすぶる燈心を消すことなく」だった。これは1995年衣笠ろうけんが創立した時の精神を現わす聖句としても用いられている。

 またこの言葉は新約聖書ではマタイによる福音書12章20節にも同様のフレーズが見られる。「彼は折れかけた葦を折ることもなく、くすぶる灯心を消すこともない」とある。

 さてこの聖句とパスカルの「パンセ」の有名な言葉、「人間は考える葦である」とは関係があるのだろうか?パスカルはフランスの数学者、物理学者、哲学者だ。気圧の単位のあのパスカルだ。

 パスカルは科学者であったと同時に神学者でもあった。パスカルは人間の存在が自然界の中では弱いものであることを認めつつ、その「考える力」によってその価値が生じると言った。「宇宙は考えない」とも言った。

 この聖句とパスカルの言葉を結びつけるのは、弱さや困難を抱える人々に寄り添う優しさと支える力だろう。

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