
初診外来をしていると、いろいろな急患にお目にかかる。先週も94歳の女性が息子さんに付き添われて車いすでやってきた。3日ほどせきが止まらないという。熱はない。胸部レントゲンを撮ると右下肺野に淡い浸潤影がある。酸素飽和度も94%でやや低い。でも肺炎にしては熱がないので変だ。でも高齢者の場合、無熱性肺炎と言う事もあると思って、血液検査の結果を待った。
するとなんと炎症マーカーのCRP36.3 、白血球数が1万以上もある。これは入院だと思って、入院担当の南次郎先生に連絡した。胸部のCTを撮影しておいてというので、CTを撮影したところ、立派な両側下肺野の肺炎だ。
まさに無熱性肺炎だ。無熱性肺炎とは、その名の通り、通常の肺炎で見られるような高熱を伴わない肺炎のことだ。特に高齢者や免疫力が低下している場合に見られる。熱が出ないため、発見が遅れることもあり、咳や息切れ、倦怠感といった症状だけで来院することがある。見逃すと大変だ。
無熱性肺炎で熱が出ない理由は、患者の免疫反応が通常より弱まっていることが多いからだ。例えば、高齢者や免疫力が低下している人は、感染や炎症に対する体温調節や炎症反応が抑えられるため、発熱が見られない。
また、一部の病原体、例えばマイコプラズマやクラミジアでは、感染による炎症を引き起こすものの、発熱を伴わない場合がある。レジオネラ肺炎でも普通は高熱がでるが、免疫が衰えている高齢者では熱がでない。
熱がないからと言って安心してはいけない。高齢者の無熱性肺炎には十分な注意が必要だ。
