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紀元前の孤独と苦難


 衣笠病院では礼拝が毎朝8:30からチャペルで行われる。4月に入ってもまだ寒い日が続くなか、新年度の聖句が大野牧師から紹介された。旧約聖書の詩編90編1節、17節である。

 詩編90編は、モーセによって書かれたとされていて、詩編全体の中でも最も古いものだ。この詩編は、出エジプト後の荒野を彷徨った時代、つまりイスラエルの民が約束の地カナンへ向かう旅の中で、困難や孤独感に直面する背景の中で生まれたものとされている。

 その中で「人生の年月は70年ほどのものです。健やかな人が80年を数えても、得るところは労苦と災いにすぎません」という言葉が出てくる。これにはびっくりした。紀元前の時代も70歳が長寿とされていることにまず驚いた。そして「80歳になっても得るところは労苦と災い」との言葉にも、紀元前の孤独と苦難を感じた。

 しかし詩編は以下に続く。「主よ、あなたは代々に私たちの宿るところ、私たちの手の働きをどうか確かなものしてください」。

 この詩編の一節は、神が永遠に人々の拠り所であることを表している。「宿るところ」とは、安心して身を置く場所、つまり人々が困難や変化の中でも頼れる存在を意味する。そして「私たちの手の働きを確かなものにしてください」という部分は、人々の努力や行動が実りあるものになることを神に祈る言葉だ。

 これに込められたメッセージは、困難ななかにも神を信頼し、導きを求めることで、人生において意味ある働きが達成できるということを現わしている。

 紀元前の孤独と苦難とそれに差し込む希望の光を感じる聖句だ。

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