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ラクナ梗塞


 

猛暑日が続く。外来も混雑している。そんな中、68歳の男性が「からだがふらつく」と言って診察室に入ってきた。4日前にも同じ症状で救急病院に行ったが、CT画像では問題ないので自宅に返されたと言ってきた。ただ警備会社に勤めているので、会社のほうから「MRIを撮影してもらうように」と言われて外来を受診したと言う。今も軽いふらつき感はあるが、歩行も普通だし、手足の脱力などもない。目立った神経症状もない。「熱中症だと思いますが、念のためMRIを撮ってみましょう」と言って、オーダーした。

 しばらくしてMRIの報告が届くと、なんと「側頭葉のラクナ梗塞」だ。びっくりして脳外科の外来に併診依頼を出した。脳外科からのお答えは「心電図で心房細動もあるので、血栓が飛んだのだろう」という。「あとMRIのオーダーのときは一緒にMRI-A(MRIアンギオグラフ)も一緒にオーダーしてください」と脳外科の医者が言う。MRI-Aは血管を詳しく見るための検査だ。頸部動脈の狭窄や脳動脈瘤が一緒に診断できる。つい念のためのMRIだったので、オーダーを出し忘れていた。

 この暑さのなか熱中症が頭にあったので、MRIを撮影しなければ、点滴注射をオーダーしてあやうく帰宅させるところだった。ラクナ梗塞を見逃すところだった。

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