
老健からの訪問リハビリを行っていると、下肢切断の患者さんに時々で会う。下肢切断と言っても色々あるが、ポイントは膝が残っているかいないかでリハビリが全く異なる。膝が残っているいわゆる膝下切断では義足をつけて歩行も可能だ。
先日も訪問リハビリ先で膝下切断の方のリハビリの進捗状況を見に出かけた。50代の男性で糖尿病性足壊疽で膝下切断をされた方だ。義足をつけての二本杖歩行で、近くのコンビニまで買いもにも出かけられるようになったという。
ただ膝を残せない膝上切断は大変だ。70代の男性で、心房細動で血栓が左下腿動脈に飛んで下肢急性動脈閉塞を起こし、左下肢切断をされた方だ。退院後に訪問リハを予定しているので、リハビリ室に訪問した。自宅の状況を聞くと、自宅前の階段のため車いすを下ろすのが大変なので、結局訪問リハビリになった。退院後の自宅の家屋改修が大変そうだ。2階の自室を1階に移し、車いす移動のための自宅内の動線調査が必要だ。それに訪問診療の準備もしなければならない。
さて下肢切断で一番多い疾患はなんと言っても糖尿病だ。2017年の糖尿病患者約5,000人を対象に、5年間前向きに追跡した「福岡県糖尿病患者データベース研究」で、日本の糖尿病足病変の実態が明らかになった。それによると、糖尿病性足病変の年間発症率は0.3%、切断率は0.05%と言う。この日本の切断率は海外の報告に比べて10分の1程度の少なさだという。
確かに著者も1980年代後半に米国留学しているとき、糖尿病による下肢切断があまりに多いのびっくりしたことがある。下肢切断は日本では整形外科の医者が行うが、米国ではその頻度があまりに多いので、外科医も行っていた。このため外科病棟に下肢切断の患者が入院しているのだ。また米国では糖尿病の治療成績を評価するのに人口あたりの足切断率と言う評価指標まであって2度ビックリした。