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多言語外来


 横須賀の衣笠病院で週2回外来をしている。最近は外国人の方の受診が増えている。外来もインターナショナルだ。一番多いのは中国人で日本語が通じるので問題はない。日本語の分からない中国人の方は通訳ボランテイアを連れて来てくれるのでOKだ。

次に多いのはタイ、ベトナムの方だ。これらの方は全く英語も通じず、通訳ボランテイアがいなければお手上げだ。スマフォの通訳アプリは聞き返しのタイミングが合わなかったりして使いづらい。それからときどき日系ブラジル人でポルトガル語しか話せない方が来る。またペルー移民の方でスペイン語でまくし立てられてまるで分らない。そんなとき若いときに留学していたブルックリンの救急外来を思い出す。外来でヒスパニックのしゃべるスペイン語が分からないと、患者さんがかわいそうな顔をして「ドクター、スペイン語を覚えたほうがいいですよ」と言ってくれる。あとブルックリンでは韓国人がくると日本人だと韓国語が分かると思って引っ張り出される。まるで分らないのに。

 さて衣笠病院の外来では英語が通じるのはマレだ。ナイジェリアから出稼ぎにきている糖尿病の患者さんが唯一英語が通じる患者さんだ。

 衣笠で外来をしていると、英語が超ローカルな言語に思えてくる。やっぱり東アジアは英語が通じない地域であることを改めて納得する毎日だ。

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