
2026年診療報酬改定では、往診専門クリニック、住宅型ホスピスなどを運営する株式会社など営利企業に対する対する風当たりが強かった。
医療ではどうしてこうした営利企業が嫌われるのだろう?その理由は簡単だ。医療法で営利企業を認めていないからだ。医療法第7条で「営利を目的として病院・診療所・助産所を開設しようとする者には、許可を与えないことができる」としている。また医療法第54条では、医療法人は余剰金の配当を禁止して、その非営利性をうたっている。
医療法は戦後まもなく1948年にできた。医療法ができる前、すなわち戦前には株式会社立の病院はいたるところにあった。製鉄・炭鉱・鉄道・電力など、企業城下町を形成する大企業は、従業員の疾病治療のために自らが病院を経営していた。 福岡県飯塚市にある麻生グループの飯塚病院はいまだに「株式会社麻生飯塚病院」だ。戦前からあった株式会社立病院の名残だ。
こうした医療法もあって、株式会社の医療への参入は目の敵にされている。「医療は公共財であり、営利動機と本質的に相いれない」とされている。このためコロナ禍で誰も往診に行かなかったコロナ患者宅への緊急往診で大活躍したファストドクターのような往診専門クリニックにも、今回の改定でも逆風が吹いた。在宅看取りを行う住宅型ホスピスを運営する会社にも逆風が吹いた。たしかに営利企業による過剰診療、患者囲い込みは医療の公共性をそこね医療費膨張を招くと言う懸念はわかる。
しかし一方、こうした企業が成長するのは、地域ニーズがあるからなのだ。非営利を旨とする医療法人ではこうした地域ニーズを救い上げることが難しいという現実も一方にはある。
実は医療法は、かつての病院中心の時代に作られた。しかし時代は2040年へ向けて、病院から在宅や地域中心へと大きく転換しようとしている。戦後まもなくできた医療法では、2040年へ向けて起きる在宅需要の急拡大に追いつけない。在宅やオンライン診療など需要を、従来型の非営利法人だけで受け止めるのはムリな状態だ。
「非営利は善」「営利は悪」という二項対立はもう止めにしよう。非営利、営利を超えた第三の道が必要だ。第三の道は公共性、持続可能性、技術性、多主体協働で地域を包括した準公共モデルだ。こうした視点から医療法改正を目指してはどうか?これから開催される「国民会議」でも議論してほしいテーマのひとつだ。
