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片頭痛


 麦畑の星空(ゴッホ)

 ゴッホが片頭痛持ちだったことはよく知られている。片頭痛の前駆症状では「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれるきらきら光る星のようなものが見える。ゴッホの麦畑の星空の模様は、彼が実際に見た閃輝暗点ではないのかという説がある。

 また『たけくらべ』の作者、樋口一葉も片頭痛に悩まされていた。頭痛がひどい時には鉢巻をしっかり巻きながら執筆を続けていたというエピソードもある。

 このように激しい頭痛と戦いながら名作を残した芸術家は多い。

 さて外来では片頭痛の患者さんはたいてい月曜日に現れる。なぜか休日に片頭痛が悪化する言う。いわゆる「週末片頭痛」だ。あと低気圧や前線の通過でも悪化するという。ある患者さんは気象の変化に敏感に反応するので、自分で「気象予報士になれる」と言っていた。この患者さんはゾルミトリプタンを毎回処方している。

 今、ゾルミトリプタンのスイッチOTC化が進行中だ。過去の議論では、片頭痛は医師による診断が必須だとされてなかなかスイッチOTC化の議論が進まなかった。ただすでに片頭痛と医師が診断している患者については、スイッチOTCでも全く構わないだろう。

 とくに土日など医療機関が休みのときに、薬局でゾロミトリプタンを購入できれば、土日に悪化する週末片頭痛の患者には朗報だ。

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