
阿部志郎先生は衣笠病院グループの元理事長で、現在は相談役を務めている。今年99歳になられた。今だに背筋をピンと伸ばされて、かくしゃくとされている。著者が6年前に衣笠病院に赴任した時ご挨拶をしたら、「ようこそ横須賀においで下さった」とお言葉をいただいた。
阿部志郎先生は、日本の社会福祉分野の実践家として知らないものはいない。先生は1926年に生まれ、明治学院専門学校、一橋大学を卒業した後、ニューヨークのユニオン神学校に留学された。その後、横須賀基督教社会館の館長として地域福祉の発展に貢献し、後に神奈川県立保健福祉大学の初代学長に就任された。
先生は、地域福祉を思想的・学問的に掘り下げ、欧米やアジアの福祉制度を比較しながら日本の課題を提案するなど、幅広い視点で活動された。著書には『福祉の哲学』や『地域福祉の思想と実践』がある。
2022年7月の衣笠病院グループ創立75周年記念講演会では、1時間以上にわたって、「新しい地平を拓く」というテーマで講演された。この講演の様子は以下のyoutubeで見ることができる。衣笠病院グループ創立75周年記念阿部志郎先生講演会 – YouTube
その講演のなかで終戦後、横須賀に進駐してきた米国海軍司令長官のデッカー大佐との思い出を語られている。デッカー大佐は熱心なクリスチャンで、司令長官としては異例だった。横須賀のキリスト者のコミュニテイに深くかかわり、教育、福祉、医療に大きな足跡を残した。衣笠病院もデッカー大佐の奨励によって作られた。先生によるとそうした「デッカー大佐の進駐政策は米国海軍のなかではあまり評価されず、軍人としての出世は遅れた」と語っている。しかし横須賀にとっては大いなる賜物(たまもの)だった。
阿部志郎先生は慈恵医大の名誉学長だった安部正和先生の弟さんである。偉大なご兄弟ですね。
