
今年の夏はとりわけ熱い。7月だというのに熱帯夜が続いている。訪問診療先に行くのも大変だ。訪問診療の軽自動車に乗っても、車内冷房も効かないほどの暑さだ。
そして一人暮らしの高齢者の家の玄関を入り部屋に行くと、またビックリだ。エアコンもつけずに蒸し暑い部屋の中で車いすに座っている。
「エアコン付けないんですか?」と聞くと、「風が当たるからエアコンは嫌い」。南向きの窓から日光が直接部屋に差し込んでいる。「カーテン引かないのですか?」、「部屋が暗くなるので引かない」と言う。
これでは高齢者が室内で熱中症になって救急搬送されるのもムリはない。なぜ高齢者はエアコンをつけないのだろうか?
理由はいくつかある。まず高齢者は加齢によって暑さを感じにくくなっている。体の暑さセンサーが加齢で麻痺しているのだ。それに高齢者は夏なのになぜか厚着をしている。このため高齢者は水分貯蓄量が少ないので、すぐ脱水になる。脱水になれば発汗しにくいので、よけい体温が上昇して熱中症になりやすい。
そもそも高齢者はエアコンが苦手だ。理由は昔の送風式のエアコンで冷えすぎた経験から「体に悪い」と思っている。先日、訪問した先の高齢者は「冷え性なのでエアコンをつけると足が痛い」と言っていた。また「エアコンのリモコン操作が分からない」。「電気代がもったいない」と言う。とくに認知症の方はエアコンのリモコンがどこにあるかもわからない。
こういうエアコン嫌いの高齢者には直接冷気が当たらないようにエアコンの風向きを変える、風量を弱くする。南向きの窓の遮光をする。水分補給のペットボトルを身近に置いておくなどする。独居の高齢者の家の玄関を出るときはいつもあとが心配だ。
熱中症による死亡者数は2023年には約1,651人だ。これは災害級の死亡者数だ。特に高齢者が多く、暑さや脱水症状対策が、本当に求められている。まだまだ暑い日が続く。エアコンや扇風機を使い、こまめに水分補給をすることを促すことしかできない。
