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医療モールの薬局論争


 横浜の港南台の家の近くに医療モールがある。医療モールには12のクリニックが入っている。そのうちの一つの内科クリニックに血圧でかかっている。家から歩いて5分なので便利だ。この医療モールの1階スペースにモール内の調剤薬局がある。

 このモール内の調剤薬局が来年2026年の診療報酬改定で話題となっている。というのも調剤薬局の体制を評価する調剤基本料が大きく引き下げられるかもしれないからだ。 引き下げられれば利用者にとっては朗報だが、調剤薬局にとっては収入が減るので大変だ。

 理由はこのところの敷地内薬局に対する風当たりの強さのあおりだ。敷地内薬局とは2016年の内閣府の規制改革会議で利用者の利便性を考えて、病院敷地内に薬局を作ってもよいことにしたことから始まった。

 敷地内薬局については厚労省や日本薬剤師会は「医療機関と一体化した薬局は医薬分業の趣旨に反する」と言って大反対した。しかし規制改革会議に押し切られた。

 このため厚労省は敷地内薬局に対してもっとも低い調剤基本料を設定することで対抗した。これで敷地内薬局を経営的に冷遇して追い込もうとしたのだ。

 ところが患者にとっては、敷地内薬局は調剤基本料が安く、同じ敷地内で近いので「安くて、便利」ということで逆に大盛況となった。また敷地を貸す病院にとっても賃借料が入るので、この病院経営難のなかでよい収入源となった。「患者よし病院よしそして薬局よしの三方良し」の皮肉な結果となった。

 そして2020年、それまでの病院内敷地内薬局に加えて診療所の敷地内の薬局に対しても同様の調剤基本料を与えることにした。この時に、従来の医療モールの調剤薬局をこの適応から除外した。つまりこれまでの医療モールの薬局はこの敷地内薬局の適応にはしないことにした。

 するとなんとこの適応除外を逆手にとって、医療機関の敷地内薬局が診療所を誘致して医療モール内薬局に変身を遂げたのだ。これで敷地内薬局より調剤基本料の高い医療モール内薬局になれる。

 来年2026年の診療報酬改定を議論する中医協では、この「すり抜け」が問題となった。厳しい意見としてはこの適応除外を廃止してはという意見も出ている。そうなると、これまでの医療モール内の調剤薬局も敷地内薬局の扱いになって、最低の調剤基本料となる。利用者にとっては便利で安くなるのでありがたい・・・

 しかしこの議論はなんともおかしな話だ。利用者目線からの議論からは全くかけ離れて、医薬分業の理念の空中戦を行っているという感じだ。唯一良いことは、その空中戦のおかげで利用者負担が減るかもしれないということだ。

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