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閉塞性黄疸


 今年のお正月休みは9日もあった。このためお正月休み明けの外来は、休み中にたまった患者さんが押し寄せてきて大変だった。そんな中、70歳台の黄疸の女性が現れた。暮れから「尿の色が濃くなって、肌が黄色くなり、便の色が白っぽくなった」という。目を見ると白目が薄黄色になっている。早速おなかを見せてもらった。ものの見事なみかん色だ。黄疸を見るには日に焼けていないおなかの皮膚を見るのが一番だ。

 さてこの女性の場合、痛みもないし食欲もあるし黄疸だけが症状だ。「・・・ということは?」と思って、早速、血液と尿の検査、そして腹部CTをオーダーした。結果は予想通りだ。血液中のビリルビン値が8以上もあり、尿中のビリルビン値も挙がっている。胆汁のビリルビンが胆管から十二指腸のどこかが詰まっていて、血液中に逆流したのだ。まさしく「閉塞性黄疸」だ。

 ビリルビンは普段では肝臓でつくられ、胆のうから胆管を伝わって十二指腸に排出される。便の色が黄色いのもビリルビンの色のためだ。この経路のどこかが遮断されるのが閉塞性黄疸だ。この女性の場合腹部CT画像で閉塞の原因がわかった。膵臓がんがその原因だった。

 すい臓がんの初期症状が黄疸であることは珍しくない。胆管が膵臓の中で膵液を通す膵管と合流して十二指腸に注いでいるからだ。膵臓がんがこの胆汁の通り道にできると胆管を圧迫して閉塞性黄疸を引き起こす。

 膵臓がんの初期症状として黄疸が現れるのは、膵臓がんができる部位で異なる。特に膵頭部(すいとうぶ)にがんができた場合、閉塞性黄疸が比較的早期に現れる。というのも膵頭部は先述のように胆管や膵管が交差する交通の要衝だからだ。これが膵尾部といって膵臓の辺境にがんができても黄疸症状は現れない。

 ざっくりいうと膵頭部がんの患者の約60〜70%に黄疸がみられる。一方で、膵体部や膵尾部にがんがある場合は、胆管を圧迫しにくいため、黄疸は初期には出にい。このため膵臓がんの発見が遅れる。ある意味膵頭部がんは黄疸で発見されるラッキーな膵臓がんかもしれない。

 先ほどの患者さんには早速紹介状を書いてがん専門病院に行ってもらうことにした。

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