
薬袋は薬を入れる袋で、「やくたい」と読む。ところが人名になると「みない」になる。
薬袋(みない)は実在する苗字だ。その名前の由来には諸説ある。その中の一つに「薬袋の中身を見ない」というエピソードに基づくものがある。戦国時代、武田信玄が落とした薬袋をある農民が拾って届けた際、信玄が「中を見たか?」と尋ねたところ、農民は「見ない」と答えた。この誠実さを称えて、信玄がその農民に「薬袋」と書いて「みない」と読む名字を与えたという説だ。昔から薬の中身は個人情報だったのだ。他にも、「薬袋を見ないほど健康な村だったから」という説や、「昔の薬は見た目がグロテスクだったので袋に入れて見ないようにした」という説もある。
「薬師丸(やくしまる)」という名字の由来にも、いくつかの説がある。もっとも有力なのは、佐賀県佐賀市金立町大字薬師丸という地名に由来する説。江戸時代にはすでにこの地名が記録されていて、そこに住んでいた人々が地名をそのまま名字にしたと考えられている。薬師は「薬師如来」から来ていて、病を癒す仏様のこと。丸は「~丸」とつけることで、親しみや敬意を込めた名前の形。幼名によく使われる。ちなみに、全国にこの名字を持つ人はわずか20人ほどしかいない超レアものの名字だ。
次は薬研だ。薬研は「やげん」と読む。生薬を入れてすりつぶす道具のことだ。取手の付いた円盤状の石臼でごりごりとつぶす。鎌倉の僧医忍性がいた極楽寺に行くとこの薬研が庭においてある。また人の苗字に薬研地(やげんじ)という苗字もある。全国でおよそ40人ほどしかいないこれまた超レアもの名字だ。
