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2050年の平安


 新たな地域医療構想は2040年が目標年だ。この年は団塊ジュニアが前期高齢者となる年で、日本の高齢者人口のピークの年だ。それ以降、高齢者人口も減っていく。

 筆者が敬愛する長谷川敏彦氏の人口遷移論(図)をみると、人生100年時代の折り返し地点50歳を分割線として50歳以上、50歳未満で人口構成を分けている。この方式で人口遷移を俯瞰すると、1980年から2040年の移行期を除いては50歳以上人口と50歳未満人口の比率は一定している。移行期前、すなわち明治維新から第二次大戦までは50歳前後の人口比率は一定であり安定していたことが分かる。そして移行期以降の2050年以後は再び安定する。同氏はこれを19世紀型安定と21世紀型安定と呼んでいる。

 このように人口構造は今が移行期である。この移行期は60年以上にわたっている。ただこれを過ぎれば再び安定的な人口構成に戻ることを意味している。

 しかし人口は減る。2050年代は日本の人口は1億人を割りこむ。しかし人口1億人以下の国はヨーロッパ先進国では当たり前の国だ。ただ2050年代の日本は1億人の人口うち40%は高齢者と言う世界だ。その後も人口減は続くが65歳以上の高齢化率はおよそ40%で定常化する。

 旧約聖書の言葉に預言者エレミアの言葉がある。エレミアは70年にわたるバビロン捕囚の悲惨な年を経たのちの平和な世界が訪れる以下の予言した。「それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ」(エレミヤ書29章11節)。この言葉のように現状の混乱期を乗り越えて開ける2050年の平安な世界を信じて進むことだろう。

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