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街灯の明かりの下でカギを探す男


 夜道の街灯の下で男が何かを探している。通りかかった人が「何を探しているのか?」と尋ねると、「家のカギをなくした」と答える。一緒に探したが見つからず、「本当にここでなくしたのか?」と聞くと、男はこう答える「カギをなくしたのはあっちの暗い場所なんですが、暗くて何も見えないので、明るい街灯の下で探しているんです。」

 このイスラエルの寓話は「街灯効果(Streetlight Effect)」とも呼ばれ、人が探しやすい場所ばかりを探してしまう心理的傾向を表している。

 この寓話の教訓は以下のいろいろな分野で引用されている。

学問・研究領域ではデータがすでにある分析しやすいところばかりを研究対象にして、データの無い問題を避けてしまう傾向。

ビジネス・経営分野では、 見やすいデータや指標ばかりに判断を頼り、データには表れないが本当に重要な問題を見逃してしまう危険性。

自己探求・哲学領域では 自分の内面の暗闇には向き合わず、これまでの先人の築いた言語の世界にばかりに答えを探してしまう事への警鐘である。

 今日的な意味では、ネットやAIが瞬時に出す答えに満足して、それ以外の答えには目をつぶってしまうと言う危険性だ。

 ネットやAIが教えてくれるのは、言語という街灯が照らす過去の空間の中だけの事だけだ。ネットやAIでも、非言語や未来の空間は依然として暗闇に包まれている。

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