著者は1949年生まれの団塊世代の一員だ。2025年、著者も含めた団塊世代800万人がそろって75歳以上の後期高齢者となる。少し気が早いがその10年後、2035年の日本を見てみよう。当たり前のことだが、そのとき団塊の世代がそろって85歳以上になる。団塊の世代という戦後最大の人口ボリュームゾーンが85歳以上になる2035年は、85歳以上人口が1000万人を突破する。85歳以上の高齢者は何と呼べばよいだろう? 75歳以上の高齢者は後期高齢者だから、85歳以上は「超後期高齢者」だ。
さて2035年、超後期高齢者が1千万人となる(図表)。団塊の世代が2025年に75歳となり、2035年に85歳を迎えるまで間、85歳以上人口の伸び率は10%台後半から20%台前半と2桁成長で伸び続ける。その間75歳未満の前期高齢者の増加は頭打ちになるので、団塊の超後期高齢者の伸びだけが突出する。一方、全体の人口は減少局面に入っているので、2035年には超後期高齢者人口は国民の10人に1人となる。
さて団塊世代85歳以上の超後期高齢者1000万人の世界はどんな世界だろう。85歳以上の要介護認定率は男性3割、女性は4割なのでおよそ350万人の団塊要介護者が出現する。そして85歳以上の認知症率は45%なので450万人の団塊認知症が発生する。また85歳以上の入院受療率は人口10万人対して4千人超であるのでおよそ40万人、外来受療率は人口10万人に対して1万人なのでおよそ100万人である。
この85歳以上1000万人の都道府県別の推計をみると、最多の東京都は約88万人、神奈川県は約70万人、大阪府は約69万人、埼玉県は55万人と、85歳以上人口は大都市圏に集中している。これは1960年から1970年代日本の高度成長期に団塊世代が就職のために大都市圏に大量移動し、そのまま高齢化したためだ。
2035年はあっという間に来る。今からその対応に備えても遅すぎることはないだろう。